上映予定作品
9月20日(土)
1部 開場 11時00分
『Ryuichi Sakamoto Opus』
音楽、演奏:坂本龍一
監督:空音央 撮影監督:ビル・キルスタイン 編集:川上拓也 録音、整音:ZAK 製作:空里香、アルバート・トーレン、増渕愛子、エリック・ニアリ 製作会社:KAB America Inc. / KAB Inc. 日本/2023/モノクロ/DCP/103分/Atmos &5.1ch/配給:ビターズ・エンド
ⓒ KAB America Inc. / KAB Inc.
2部 開場 15時00分
『ゴンドラ』
2023年製作/85分/ドイツ・ジョージア合作
原題または英題:Gondola
配給:ムヴィオラ
9月21日(日)
1部 開場 11時00分
『夏の終わりに願うこと』
2023年製作/95分/G/メキシコ・デンマーク・フランス合作
原題または英題:Totem
配給:ビターズ・エンド
2部 開場 14時30分
『敵』
2023年製作/108分/G/日本
配給:ハピネットファントム・スタジオ、ギークピクチュアズ
『Ryuichi Sakamoto Opus』
演奏・音楽 坂本龍一
監督 空音央
坂本龍一自身が選曲した、これまでの軌跡を辿る20曲で構成
極上の映像と音楽で魅せる最初で最後の長編コンサート映画
世界的音楽家、坂本龍一。1978年のデビュー以降“教授”の愛称で親しまれ、2023年3月に永眠するまで数々のアーティストに影響を与え、音楽シーンを牽引、精力的に国内外での活動を展開してきた。2年以上となる闘病生活を続けていた彼が、最後の力を振り絞り演奏した映像収録は、2022年9月、坂本が「日本でいちばん音のいいスタジオ」と評する東京のNHK509スタジオで8日間に渡り行われた。撮影で使用したのは2000年に坂本のためにカスタムメイドされ、長年コンサートやレコーディングで愛用したヤマハのグランドピアノのみ。名曲「Merry Christmas Mr. Lawrence」、坂本の最後のアルバム「12」からの曲、そして初めてピアノ・ソロで演奏されたYMO時代の「Tong Poo」まで、自身が選曲した20曲から構成。ボーダーを越え活動を続けた坂本の軌跡を辿る曲目、鍵盤を奏でる指と音楽家の息遣い、その人生が刻みこまれた手。坂本自身がアプルーブし、入念なポストプロダクションを経てこの映画が完成した。坂本が全面的に信頼を寄せた監督と撮影クルーたちが慎重に撮影プランを練り上げ、全編モノクロームの親密かつ厳密な世界でひとつしかない宝物のような空間を生み出した。奇跡とも思える美しく儚い演奏は今、私たちの心に深く刻み込まれる。
『ゴンドラ』
監督・脚本 ファイト・ヘルマー
セリフがないから生まれる映画的瞬間!
唯一無二の名匠ファイト・ヘルマー作品
映画の主人公は、緑あふれる山の谷間を繋ぐ古い2つのゴンドラ(ロープウェイ)とゴンドラの2人の女性乗務員。ゴンドラは行ったり来たり。世界のどこかに行くわけではないけれど。想像力があればどこへでも行けるのだ。映画にセリフはない。どこか懐かしいような音楽と、キャラクターたちの豊かな表情と、美しいロケーションが、観客に魔法をかける。東京国際映画祭をはじめ世界62の映画祭に招待され、10の所を受賞した『ゴンドラ』は、ヨーロッパでもアジアでも、国境を越えて、観る人を笑顔にしてしまう。ゴンドラは自由と幸福をのせていく。(85分)
ストーリー
イヴァは村のゴンドラ(ロープウェイ)の乗務員として働き始める。もう1台のゴンドラの乗務員はニノ。
駅長は威張り屋で、その態度ときたら腹が立つことばかり。
行ったり来たり、すれ違うゴンドラは世界のどこかに行くわけではないけれど。
想像力があればどこへでも行けるのだ。
2人はゴンドラに “衣替え”させ、ニューヨーク行きの飛行機にしたり、リオ行きの蒸気船にしたり、火星行きのロケットにしたり。
奇想天外なやりとりは、2人の距離をどんどん近づけていく。
そしてある日、2人の優しい悪戯が駅長を激怒させ、やがてそれは地上の住民も巻き込むのだが……。
『敵』
監督 吉田大八
原作 筒井康隆
日本文学界最後の巨人・筒井康隆による老人文学の傑作『敵』に『桐島、部活やめるってよ』『騙し絵の牙』の吉田大八が挑む。
俳優歴50年を迎える長塚京三が、12年ぶりに映画主演を務め、熟練のスタッフと俳優たちが紡ぐ、人生最期の「讃歌」。
原作は、『時をかける少女』『パプリカ』などの大人気SFから、『文学部唯野教授』のようなメタフィクションまで数々の作品を生み出してきた筒井康隆。
渡辺儀助、77歳。大学を辞して10年、フランス近代演劇史を専門とする元大学教授。20年前に妻・信子に先立たれ、都内の山の手にある実家の古民家で一人慎ましく暮らしている。講演や執筆で僅かな収入を得ながら、預貯金が後何年持つか、すなわち自身が後何年生きられるかを計算しながら、来るべき日に向かって日常は完璧に平和に過ぎていく。収入に見合わない長生きをするよりも、終わりを知ることで、生活にハリが出ると考えている。
毎日の料理を自分でつくり、晩酌を楽しむ。朝起きる時間、食事の内容
、 食材の買い出
し、使う食器、お金の使い方、書斎に並ぶ書籍、文房具一つに至るまでこだわり、丹念に
扱う。
麺類を好み、そばを好んで食す。たまに辛い冷麺を作り、お腹を壊して病院で辛く恥ずか
しい思いもする。 食後には豆を挽いて珈琲を飲む。食間に飲むことは稀である。使い切る
こともできない量の贈答品の石鹸をトランクに溜め込み、物置に放置している。
親族や友人たちとは疎遠になったが、元教え子の親族や友人たちとは疎遠になったが、元教え子の椛島椛島は儀助の家に来て傷んだ箇所の修理は儀助の家に来て傷んだ箇所の修理なども手伝ってくれるし、時に同じく元教え子の鷹司靖子を招いてディナーを振る舞う。なども手伝ってくれるし、時に同じく元教え子の鷹司靖子を招いてディナーを振る舞う。後輩が教えてくれたバー「夜間飛行」でデザイナーの後輩が教えてくれたバー「夜間飛行」でデザイナーの湯島湯島と酒を飲む。そこで出会ったフと酒を飲む。そこで出会ったフランス文学を専攻する大学生・菅井歩美に会うためでもある。ランス文学を専攻する大学生・菅井歩美に会うためでもある。
できるだけ健康でいるために食生活にこだわりを持ち、異性の前では傷つくことのないよ
できるだけ健康でいるために食生活にこだわりを持ち、異性の前では傷つくことのないようになるだけ格好つけて振る舞い、密かな欲望を抱きつつも自制し、亡き妻を想い、人にうになるだけ格好つけて振る舞い、密かな欲望を抱きつつも自制し、亡き妻を想い、人に迷惑をかけずに死ぬことへの考えを巡らせる。迷惑をかけずに死ぬことへの考えを巡らせる。
遺言書も書いてある。もうやり残したことはない。
遺言書も書いてある。もうやり残したことはない。
だがそんなある日、パソコンの画面に「敵がやって来る」と不穏なメッセージが流れてく
だがそんなある日、パソコンの画面に「敵がやって来る」と不穏なメッセージが流れてくる。る。
いつしかひとり言が増えた儀助の徹底した丁寧な暮らしにヒビが入り、意識が白濁し始め
いつしかひとり言が増えた儀助の徹底した丁寧な暮らしにヒビが入り、意識が白濁し始める。る。やがてやがて夢の中にも妻が頻繁に登場するようになり、日々の暮らしが夢なのか現実なの夢の中にも妻が頻繁に登場するようになり、日々の暮らしが夢なのか現実なのか分からなくなってくる。か分からなくなってくる。
「敵」とは何なのか。逃げるべきなのか。逃げることはできるのか。
「敵」とは何なのか。逃げるべきなのか。逃げることはできるのか。
自問しつつ、次第に儀助が誘われていく先にあったものは
自問しつつ、次第に儀助が誘われていく先にあったものは――――。。
『夏の終わりに願うこと』
監督・脚本 リア・アビレス
最愛の父の誕生日パーティー。
少女がたどる一歩に、誰もが“初めての別れ”を思い出す――
7歳の少女・ソルは、父・トナの誕生日パーティーのため祖父の家を訪ねる。病気で療養中の父と久しぶりに会える
ことを喜ぶソルだったが、身体を休めているからと、なかなか会わせてもらえない。従姉妹たちと無邪気に遊びまわる
ことも、大人たちの話し合いに加わることもできず、いらだちや不安が募るばかり。やがて父との再会を果たしたとき、
それまで抱えていた思いがあふれ出し、ソルは“新たな感情”を知ることになる…。
よろこび、悲しみ、希望、落胆。波打つ感情の変化に戸惑いながらも、物語のラスト、少女が願ったこととは――?
イニャリトゥ、キュアロン、デル・トロ…
アカデミー賞®受賞監督らも絶賛する新たな才能 リラ・アビレス監督最新作
1日を通して揺れ動く少女の心を瑞々しく描ききったのは、新鋭 リラ・アビレス。俳優、舞台美術などの現場を経て
メガホンをとった彼女は、ファッションブランドMIU MIUの短編アンソロジーシリーズ「Women's Tales」で一篇を
手掛けた。「メキシコ映画の新たなパイオニア(IndieWire)」とも評され、今作は長編2作目ながらベルリン国際映
画祭エキュメニカル審査員賞を受賞し、アカデミー賞®国際長編映画賞のショートリストにも選出されるなど世界中
で注目を集める。アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ(『レヴェナント:蘇えりし者』)、アルフォンソ・キュアロン
(『ROMA/ローマ』)、ギレルモ・デル・トロ(『シェイプ・オブ・ウォーター』)らアカデミー賞®受賞監督たちも絶賛し、
『フリーダ』(02/ジュリー・テイモア監督)でアカデミー賞®にノミネートされた俳優のサルマ・ハエックが「稀有な
才能」と称賛しエグゼクティブ・プロデューサーに名乗りをあげた。
主演を務めるのは、映画初出演のナイマ・センティエス。個性豊かな登場人物たちとのアンサンブルが唯一無二の
輝きを放ち、まるでドキュメンタリーのように映し出される彼らの姿が眩くも切なく、観る者の心に迫る。
太陽の光、カタツムリ、鳥、犬、猫…
家族を囲むすべてがやさしく見守る、かけがえのない1日
聴こえてくるのは、彼らを見守るかのように描かれる動植物が出す音と、
家族が交わす何気ない日常の会話や生活音。
猫、カタツムリ、アリ、カマキリ、金魚、オウム、カラス、犬…
沢山の生命に見守られながら、静かな緊張感のなかに、家族の、ソルの、言葉にならない思いが伝播する。
夏の終わりに儚くきらめくメキシコの太陽に照らされて、誰もが大切な記憶を思い出す、
宝物のような傑作が誕生した。